今回は、なぜ「外部の力を借りる」方が近道なのかをお話しします。
会社の方向性、経営状況、そして「失敗すると責められる」という空気。
この3つが共有されていないことが、社員が受け身になる原因である、というお話でした。
特に1つ目の「方向性」については、実は根が深い問題です。
社長自身、日々の業務に追われるうちに、会社の方向性を見失いかけている。
これは、決して少なくありません。

社長自身が、方向性を見失う理由
では、なぜ社長自身が、方向性を見失ってしまうのか。
私は、中小企業の社長は、経営者である以前に、優秀なプレイヤーであることが多いからだと考えています。
営業に出て、現場にも入って、時には自分で手も動かす。
そうやって会社を大きくしてきた社長がほとんどです。
後回しになる「重要だが緊急ではないこと」
「7つの習慣」に、時間の使い方を4つに分ける考え方があります。
- 緊急で、重要なこと
- 緊急ではないが、重要なこと
- 緊急だが、重要ではないこと
- 緊急でも重要でもないこと
会社の方向性を考えたり、経営状況を整理して社員に共有したりすることは、「緊急ではないが、重要なこと」、いわゆる第2象限に当たります。
問題は、この第2象限は、放っておくと自然には手が付かないということです。
目の前の見積もり、クレーム対応、支払い処理など。
「緊急で、重要なこと」は、待ったなしで襲ってきます。
一方、方向性や経営状況の共有は、今日やらなくても、明日は困りません。
来月に延ばしても、会社は回ります。
ただ、それは、あくまで短期的に見ればの話です。
方向性が定まらないまま時間が経てば、社員は「この会社についていって、この先大丈夫だろうか」という不安を、少しずつ抱え始めます。
今は大丈夫でも、その積み重ねが、社員の心理的な安全性を静かに削っていき、優秀な人材から離職につながっていくこともあります。
また、判断のたびに軸がぶれていれば、前回お話しした「社長の言うことが、その時々で変わる」という状態も、いつまでも解消されません。
会社が成長できるタイミングを、なんとなく先送りにしているうちに逃してしまう、ということも起こりえます。
だからこそ、
「今月は忙しいから、また来月」
「この案件が落ち着いたら、ちゃんと考えよう」
そうやって、いつまでも後回しになります。
これは、社長の怠慢では全くありません。
目の前の仕事をこなすことが、そのまま売上に直結するので、当然、緊急なことが優先されるのです。
ただ、この先送りが続く限り、方向性も、経営状況の共有も、いつまでも手つかずのままです。
ここに、外部の力を借りる一番の意味があると、私は思っています。
外部の力を借りて、「動かせない予定」をつくる
正直に言うと、外部の専門家が持っている知識自体は、本を読んだり、セミナーに参加したりすれば、ある程度は自分でも得られます。
ですが、「今日、この時間に、必ず経営について考える」という予定を、強制的に作ることは、自分一人ではなかなかできません。
月に1回、決まった日に、決まった時間、自分の会社と向き合う。
この「動かせない予定」があることで、初めて、社長は緊急な仕事から強制的に離れて、第2象限、つまり会社の方向性や経営状況と向き合う時間を持てるようになります。
遠回りに見えて、実は近道
一見、外部に頼ることは遠回りに見えるかもしれません。
自分たちだけで解決した方が、早いように思えるからです。
ですが、実際には逆です。
一人では作れない「重要だが緊急ではない時間」を、外部の力を借りることで、強制的に作り出す。
これが、結果的に一番早く前に進む方法だと、私は考えています。
次回は、「経営に外部の力を借りる」ということに対して、日本人特有の感じ方があるというお話をしたいと思います。
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