【経営の仕組みづくり】なぜ社長一人で会社を回してしまうのか

「社員が、言われたことしかやらないんです」
「いや、言われたことすら、きちんとできないんです」

これは、私が経営者の方とお話ししていて、よく聞く言葉です。

この言葉を口にする社長は決して社員を信頼していないわけではありません。

むしろ、会社のことを誰よりも真剣に考えているからこそ、悩んでいます。

なぜ、社員は指示待ちになってしまうのか。

私が現場で見てきた限り、理由は大抵この3つのどれかに当てはまります。

●会社が向かうべき方向性が、社員に共有されていない
●会社の経営状況が、そもそも共有されていない
●自分で判断すると失敗して怒られるので、指示を待つ方が安全だと学習している

一つずつ、お話しします。

①方向性が分からない

会社がどこを目指しているのか分からなければ、社員は「今、何を優先すべきか」を自分で判断できません。

判断できないので、聞くしかありません。

ただ、これは「社長には見えているが、社員に伝わっていない」という単純な話ではないことも多いです。

起業した時には、「こういう会社にしたい」という想いが、確かにあったはずです。

ですが、日々の営業や現場対応に追われるうち、いつしか社長自身が、優秀な一人のプレイヤーになっていきます。

目の前の仕事をこなすことに、時間のほとんどが使われるようになり、「次にどこへ向かうか」を考える時間そのものが、社長の中からも失われていきます。

その結果、判断が場当たり的になります。

今日はこの案件、明日はあの対応、と目の前のことに追われて判断していくうちに、社員から見ると、「社長の言うことが、その時々で変わる」ように見えてきます。

社員がついていけなくなるのは当然です。地図を持たずに航海している船長についていくのは、誰にとっても難しいことです。
余談ですが、ONE PIECEでルフィーは明確に次に向かうべきこと、やるべきことを伝えていますよね。

常に走り続けていて、立ち止まって振り返る時間がない。

これもまた、次回お話しする「重要だが緊急ではないことは後回しになる」という悪循環の、一つの表れです。

②会社の経営状況が、そもそも共有されていない

多くの中小企業では、売上や利益といった会社の数字を、社員に共有する習慣自体がありません。

社員からすれば、自分の給料がどのように生まれているのか、会社が今どういう状態にあるのか、知る機会がそもそもないのです。

見えていないものについて、自分から考えることはできません。

情報が共有されていなければ、社員に「当事者意識を持ってほしい」と求めても、そもそも判断材料がない状態です。

③失敗すると責められるので、指示を待つ方が安全

社員が、自分の判断で何かをやってみたとします。

それがうまくいけば、特に何も起きません。

ですが、失敗すると、クレームになったり、社長がやり直すことになったりします。

すると社長は、

「次からは、ちゃんと確認してから動いてほしい」

そう伝えます。当然の指導です。

ただ、これが繰り返されると、社員の中には、こういう学習が起きます。

「自分で判断すると、失敗した時に責められる。だったら、言われたことだけやる方が安全だ」

つまり、これは、社員が怠けているのではありません。

会社という環境の中で、一番失敗しない生き方を、無意識に選んでいるだけです。

以前、ある社員数4名の会社の社長からこんな話を伺いました。
→ 事例はこちらをご確認ください

「これなら一人でやっていた方がましだと思うことがあります」

売上は決して悪くなく、むしろ順調に伸びている。

それでも、営業も、現場対応も、結局は自分がやらないと回らない状態が続いていて、社員に仕事を振るとクレームになり、また自分が尻拭いをする。

正直、個人事業主に戻ることまで考えていたそうです。

話を伺っていくと、この会社でも、まさに①②③の全てが重なっていました。

社長自身、日々の業務に追われる中で、会社の方向性を見失いかけており、経営状況も社員には共有されておらず、そして一度の失敗で、ますます指示待ちになっていく。

ここを改善できるかどうかが、経営が変わる分かれ目になるのではないかと思っています。

では、この3つをどのように改善すればいいのか。

次回は、その理由について書きたいと思います。

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