貴社を、何年先まで続く会社にしたいですか。
今日は、事業承継について、実際にあった出来事を一つご紹介します。
こう聞かれて、すぐに答えられる経営者の方は、実は多くありません。
これまで人生をかけて事業をやってきているからこそ、「いつか終わる」ことも「自分がいなくなる」ことも当然のように想定していないという方がほとんどです。
ある専門サービス業の社長には、娘さん(姉)と息子さん(弟)がいました。
息子さんは別の仕事に就いており、継ぐ気はなく、娘さんは経営者(お父さん)と同じ資格を取得して、経営者の会社で働いていました。
息子さんがお父さんへ今後のことをたずねると、「ようやくやる気になってくれたか」と同じ資格を取り、事業をサポートしてくれることを望んでいました。
息子さんとしては、お姉さんが既にお父さんと一緒にやっている、自分は別の仕事に就いていることから「そんな気はない」といつも言っていたそうです。
そんな中、社長が突然亡くなります。
残されたのは、複数の顧客を抱える事業と、当面の運営を担わなければならない娘さんでした。
ただ、娘さんは事業を継ぐ気などは全くなく、専業主婦になりたいと常々思っていました。

娘さんは同業である父の知人の力を借りながらしばらく事業を継続しましたが、「専業主婦になりたい」という思いはさらに強くなり、最終的に顧客はすべて父の知人に引き継ぎ、事業を畳むことになりました。
息子さんは娘さんの思いを知らず、姉が続けてくれると思っていただけに、事前にわかっていれば何かできたのではないかと相当なショックを受けていました。
もし生前に「継ぐ気がないなら、売却するという道もある」と分かっていれば、違う結末を迎えられたかもしれません。
選べる道は、実は一つではない
事業承継というと、「誰に継がせるか」を考えることだと思われがちです。しかし、選べる道は、実は一つではありません。
- 親族に継がせる
- 社員に継がせる
- 第三者へ売却する(M&A)
- 清算(廃業)する
これらはすべて、経営者が元気なうちにしか選べない道です。
何も備えないまま相続を迎えてしまうと、選べたはずの道は失われます。つまり家族は、現金化できない株式や、社長から会社への貸付金についても相続税を負うことになり、残された方たちが困惑してしまいます。
「誰に継がせるか」は、今すぐ決めなくても大丈夫です。ただ、今の状態を「見える化」し、備えておくことはできます。
次回は、社員の立場から見た、同じテーマの別の出来事をご紹介します。
事業承継について、まとめてご覧になりたい方は事業承継サポートページもご覧ください。
※事業承継に関する制度の詳細は、中小企業庁の事業承継サイトもご参照ください。
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